街の小さな移ろいに気付きたい

『還暦ライダー』の生存確認日記

日本武尊、東征の道程③「坂戸神社」-「小鷹神社」-「小高神社」-「羽雄神社」-「泉瀧寺」-「亀山神社」

2022年11月27日(日)

休める期間も残りわずかとなってしまったので、続けて「東征の道程」体験します。

今回は「上総亀山」まで行きます。上総亀山にはJR久留里線を利用しますが、殆どが無人駅です。SuicaPasmo等のICカードも使えません。目的地が決まっていれば、事前に切符を購入しておけばいいのですが、輪行だと突然のトラブルでこの区間だけ電車を使いたい時など面倒です。おいらが、JR久留里線を利用するときに利用するお得な切符があります。「休日おでかけパス」です。

券面に載っている区間なら1日乗り放題になる切符です。

おいらの住んでいるところから上総亀山まで往復で3,400円程ですが、この切符を使えば2,720円で乗り放題です。おいらの場合、自転車で走る区間もあるので、少し足が出るかも知れませんが、現金でワンマン電車の運転手さんに清算をお願いしたりする面倒を考えると諦めも付きます。便利な切符ですが、土日祝と夏休み冬休みなどの学校が休みの期間しか使えません。みどりの窓口の券売機で「おとくな切符」として購入できます。予約はいりません。当日購入できます。

【今回の目的】

房総(上総)には日本武尊の軍に制圧された「阿久留王(アクルオウ)の伝説」というものが伝わっています。阿久留王は鹿野山周辺を支配していた豪族とされています。

伝承を紐解くと下記の2点があげられます。

①阿久留王の兵が朝廷の皇居を奪ったが、日本武尊軍により奪還される。

日本武尊軍は鹿野山の阿久留王を粛清し、退治する。

まずは「①阿久留王の兵が朝廷の皇居を奪ったが、日本武尊軍により奪還」の道程を追います。

【参考資料】

・坂戸神社から羽雄神社までの工程は

失われた英雄 新・阿久留王伝説
発売日:  2020年02月01日頃 著者/編集:  露崎清美
出版社:  22世紀アートISBN:  9784909322166

・三本松から亀山神社までの工程は

きみつアーカイブ(http://archives.kimitsu.jp/)の

君津地方情報館(http://archives.kimitsu.jp/InfoLib/Material/2019/05/31/11927.html)

「君 津 地 方 の 歴 史PartⅡ」と「君 津 地 方 の 歴 史PartⅤ」を参考にしています。

【広域地図】

【皇居奪還地図】

■戦勝祈願の地

JR袖ヶ浦まで輪行してここから、坂戸神社に行きます。

●坂戸神社

千葉県袖ケ浦市坂戸市場1441

神社の伝承に「日本武尊の東征の時本社に、戦捷を祈り、親ら奉幣したまひしと」とあります。奪還する2拠点の皇居の中間にあるところから、ここを出発場所とします。

日本武尊は事を起こすときは必ず、神社で祝詞をあげてから出発しています。

■皇居の奪還

景行天皇の息子である馬若王と豊成別王の2名が総国を治めるために着任しました。その住まいだったのが、滝口皇居と不入斗皇居です。その2拠点を阿久留王の兵に襲われ占拠されたそうです。その皇居を奪還すべく日本武尊軍は動きます。

●小鷹神社

千葉県市原市不入斗189

不入斗皇居跡。豊成別王が着任した地です。日本武尊軍による奪還後、神社が建立されています。

不入斗(いりやまず)と読みます。不入斗の地名は関東地方に多く存在し、荘園などで貢納の免税地とされています。

●小高神社

千葉県袖ケ浦市滝の口449

滝口皇居跡。馬若王が着任した地です。日本武尊軍による奪還後、神社が建立されています。

石碑には下記のように書かれています。

袖ヶ浦市指定有形文化財 ー建造物ー

小高神社本殿

所在地 袖ヶ浦市滝の口四四九

管理者 小高神社

指定年月日 平成四年八月一日

小高神社は滝の口の氏神社で、かつては小鷹大明神とよばれていた。日本武尊が東征の折にこの地で賊を平定したことにちなんで創建され、寛和二年(986)には社殿を再建したと伝えられている。

祭神は日本武尊。例祭日は昭和三十年の平川町合併後に生活改善運動の一つとして九月二十七日から七月二十四日に変更された。

屋根は「柿葺き」、本殿は「一間社流造」である。間口は三間社と同じであるが、中央の柱間を非常に大きく取って扉口としている。両側の柱間は幅の狭い板壁で、鯉の滝上りの彫刻がある。

本殿の建設は、二重虹梁にして彫刻を入れる場所を増やすなどの特徴から元禄時代(一六八八~一七〇四)より少し下り、拝殿の前にある石灯篭と同じ宝永二年(一七〇五)頃と考えられる。 

平成八年三月

※小高神社の近くに「鎗水川」という川がある。日本武尊軍が戦いによって血に染まった鎗を洗い流した川とされている。

■「御狩り」の伝承の伝わる地
●羽雄神社

千葉県木更津市茅野786

茅野村の伝承では日本武尊軍は11月26日から12月5日までの10日間で鹿野山の賊を征伐したと伝えられています。古くからの風習として、この村には「11月26日から12月5日までの10日間は村人は武人を家に入れず、火を灯さない、談笑しない、体を洗うこと、洗髪することを控える等の行いをしない」という「御狩り」神事が明治初期まであったそうです。

■JR久留里線利用

小鷹神社までの道のりが思いのほか大変で、しかもGoogleナビが変な道案内をしてくれて、リルートを繰り返しました。そのため、時間が足らなくなり夕暮れ(16:30頃)までに終わりそうにありません。元々、「下郡」から「上総松丘」まではJR久留里線を利用するつもりでしたが、「下郡」から終点「上総亀山」までを利用して行程を減らすことにしました。

下郡駅で乗車

駅舎も何もないホームだけの駅です。次の上総亀山行きは30分後に来ます。食事でしようと思いましたが、お店も何もありません。「馬来田にした方がよかったかなぁ」と思う。

10分遅れで電車が来ました。何かあったみたい。

上総亀山駅で下車

何とか、14:20過ぎに到着。1時間位で残りを周ります。

亀山湖周辺地図】

※三本松:松丘地区にも阿久留王の残党が逃れてきて、三本松の高台で故郷である鹿野山を見ながら自刃したと伝えられている。

亀山湖

日本武尊軍に追われた阿久留王の残党が亀山地区の山中に逃れてきて、当時たくさんいた亀を食い尽くしてしまい、挙句の果てには一人残らず飢え死にしてしまったと伝えられています。

 

亀山湖は秋の装いも相まって、とても景色がキレイです。今まで来なかったことを後悔するくらいです。輪行で自転車持って来て、亀山湖畔をサイクリングすると最高です。地図なしで周れるルートが確立できると自転車活用できると思うのですが。

亀山ダムの近くにある亀山温泉ホテルです。ダムカレーが有名みたいです。

■泉瀧寺

千葉県君津市滝原99

元々、蒲生山泉瀧寺はこの先の亀山神社のところに存在したのですが、明治時代の神仏分離令によって、この地に移されたそうです。

■亀山神社

千葉県君津市滝原114

阿久留王の残党の悪霊が谷や山にこもって鬼神となり亀山の地を不毛な地にしてしまった。この状況を鎮めるため不動明王が現れ、この悪霊を退治したと伝わります。

悪霊は去りましたが、この地では作物が育たず、飢え死にする人が出るようになり再び、不動明王が現れ、人々を救いました。

その後、炭焼きをしている人が滝の中から不動明王塑像を見つけ、この地に泉瀧寺のお堂を建て像を納めました。明治時代の神仏分離令によって、泉瀧寺は亀山神社の手前の地に移されました。

神社前の山門はお寺の名残ですね。お寺を守る不動明王はおられませんが。

看板板には下記のように記されています。

亀山神社沿革
祭神
日本武尊
 誉田別尊 大山祇命
 天神七代 地神五代
鎮座地 千葉県君津市滝原字下滝一一四番地
境内地 約二六三八平方メートル
例祭日
例大祭 八月七日
春 祭 二月二十八日
秋 祭 十一月二十八日
春祈祷 一月二十八日
由緒
本社は創立年期不詳であるが人皇十二代景行天皇の皇子日本武尊主祭神とし誉田別尊 大山祇命 天神七代 地神五代の神を祀る。

地勢平坦にして東南西の三面に小櫃川の清流があり、松杉柏等の老樹巨木あり奔流の下に飛瀑あり名づけて、不動の滝という。
社伝に日本武尊東征の時、相模の国より海路で当国木更津に渡り鹿野山を経て当地に来征し、夷賊を平らげ人民を愛撫し給いしに郷民その威徳を仰ぎ、尊を此の地に奉祀し当亀山郷旧六十四村の総鎮守と崇め、綿々として今に至る。
また伝え云うに不動の塑像瀑布中より出現し、これを今の社地に安置し蒲生山泉滝寺大聖院と号した。
(康治二年の棟札に不動尊とある)
明治維新のころ神仏の混洧を禁ぜられし時、旧記を按察しその祭神日本武尊たることを知る。よって不動の像を他に移し社殿を改造し、明治三年四月今の社号
に改める。「千葉県君津郡誌参照」
日本名勝地誌によれば、長享二年里見義実戦勝を祈り土地若干を寄せる。
天正七年正月二十八日、里見義頼社参りし本社不入の儀心得の旨原判の書札を寄せ、同年二月二十一日改めて土地寄進(拾八石余り)書面を給う。滝原は門前と称しこの除地により衣食せりとある。

「①阿久留王の兵が朝廷の皇居を奪ったが、日本武尊軍により奪還」編はこれで終了です。

「②日本武尊軍は鹿野山の阿久留王を粛清し、退治する。」編はいつになるかなぁ。

 

電車(JR市川市内-JR袖ヶ浦):1,000円くらい

自転車:58km

電車(JR下郡-JR上総亀山):330円

電車(JR上総亀山-JR市川市内):1,700円くらい

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電車代合計:3,030円

休日おでかけパス:2,720円

差額:310円お得になりました。