2021年10月24日(日)
以前、来たのが、元号が「令和」になったばかりの頃だったな。
とある神社のお参りに来たときだった。
駅前に万葉集の石碑があるのを発見。令和の元号が、万葉集からきているのを聞いて、このタイミングで万葉集の石碑に出会うとは...不思議に感じた。
帰ってから調べてみると、駅前だけでなく、馬来田の数か所に万葉歌碑が建立されている。
上総から「防人」として九州に赴く人が多かったらしく、離れ離れになった男女や家族への想いが万葉集に残っているんだね。数首が馬来田由来の歌でその他は有名どころの歌でまとめられています。
マップにしてみた。案内板もあるのですが、情報が古かったり、目標のない畑のあぜ道や、湿地帯を行くので、略地図では場所がわかりにくい。スマホのマップも電波が不安定で位置を特定できない場所もあった。武田川沿いは電波が不安定だったので、場所は不正確ですが、川沿いにあるのは確かです。
■万葉歌碑①
パネルの文面を書き記します。
原文:
「馬来田の 嶺ろに隠り居 かくだにも 国の遠かば 汝が目欲りせむ」
読み:
「うまくたの ねろにかくりい かくだにも くにのとおかば ながめほりせむ」
解説:
「馬来田の峰々にさえぎられただけでこんなに心苦しいのに他国に出てあなたの住むこの馬来田の国が遥かに遠ざかり幾日も会えないでいたら、私はどんなにかあなたに会いたくなるだろう。」
作者:不明
揮毫:千代倉桜舟
平成9年建立
茨城県真壁産 御影石
■万葉歌碑②
原文:
「大君の 命かしこみ 出でくれば 我の取り付きて 言ひし子なはも」
読み:
「おおきみの みことかしこみ いでくれば わのとりつきて いひしこなはも」
解説:
「大君のご命令が恐れ多いので、家の門口を出てくると私に取りすがって懇願したあのこは、ああ(防人歌)」
作者:種淮郡上丁物部龍
揮毫:斎藤華秀
平成29年建立
山梨県甲府産 片山石
「花とカフェ ハンノ木」というカフェの道路に面した芝生に歌碑があります。
■万葉歌碑③
原文:
「旅衣 八重着重ねて 寝のれども なお肌寒し 妹にしあらねば」
読み:
「たびごろも やえきかさねて いのれども なおはださむし いもにしあらねば」
解説:
「旅に出て、旅の衣を幾重にも重ね着して寝るけれどもやはり肌寒い、妻のようなぬくもりがないのだから。」
作者:望陀郡上丁玉作部国忍755年作
揮毫:辻元大雲
平成11年建立
茨城県筑波産 筑波石
武田川コスモスロードです。この先の川沿いに万葉歌碑があります。
コスモスが植えられています。
■万葉歌碑④
原文:
「馬来田の 嶺ろの笹葉の 露霜の 濡れてわ来なば 汝は恋ふばそも」
読み:
「うまくたの ねろのささはの つゆしもの ぬれてはきなば なはこふばそも」
解説:
「馬来田の尾根の笹葉が露霜に濡れているように涙に濡れて私が別れて来たらあなたはひとり家にとどまり、私を深く恋い慕うであろう。」
土手は舗装されていないので、雨上がりは注意しましょう。
■万葉歌碑⑤
原文:
「東の 野にかぎろひの 立つ見えて かへりみすれば 月かたぶきぬ」
読み:
「ひむかしの のにかぎろひの たつみえて かへりみすれば つきかたぶきぬ」
解説:
「冬の早朝に東の空にいま陽が昇ろうとして光が差し込む瞬間の山際の空の美しさ振り返り西の空を眺めると月が今まさに沈もうとしている。」
作者:柿本人麻呂
揮毫:飯高和子
平成24根建立
岡山県産 竜王石
■万葉歌碑⑥
原文:
「春の野に 霞たなびき うら哀し この夕かげに 鶯鳴くも」
読み:
「はるののに かすみたなびき うらがなし このゆうかげに うぐいすなくも」
解説:
「春の野に、かすみがたなびいていて何となくもの悲しい折りしも夕暮れの光の中で、うぐいすが鳴いているよ。」
作者:大伴家持753年2月23日作
揮毫:種谷扇舟
平成14年建立
神奈川県真鶴産 本小松石
湿地帯は角材の通路になっています。無理せず、自転車はおして行きましょう。
■万葉歌碑⑦
原文:
「春の野に すみれ摘みにと来し我ぞ 野をなつかしみ 一夜寝にける」
読み:
「はるののに すみれつみしとこしわれぞ のをなつかしみ ひとよねにける」
解説:
「春の野に、すみれの花を摘もうとやってきた私は野の美しさに心が引かれ、つい一夜を過ごしてしまったよ。」
作者:山部赤人
揮毫:高木厚人
平成21年10月建立
静岡県伊豆の国市産 若草石
妙泉寺の参道です。この途中に万葉歌碑があります。歩いて回れるのはこの辺まで。
後は、自転車のような交通手段が必要です。
■万葉歌碑⑧
原文:
「銀も 金も玉も 何せむに 勝れる宝 子に及かめやも」
読み:
「しろがねも くがねもたまも なにせむに まされるたから こにしかめやも」
解説:
「銀も金も、玉とても何の役に立とうどんなすぐれた宝も、子に及ぶものなどあろうか。(ありはしない。)」
作者:山上憶良
揮毫:浅見錦龍
平成18年10月建立
群馬県鬼石産 三波石
真妙寺の参道、激坂です!!
■万葉歌碑⑨
原文:
「道の辺の 茨の末に 這ほ豆の からまる君を はかれか行かむ」
読み:
「みちのへの うまらのうれに はほまめの からまるきみを はかれかゆかむ」
解説:
「道のほとりの茨の先まで這い延びる豆の蔓のようにからみつくあなたを別れ残していくのか。」
作者:天羽郡の上丁丈部鳥
揮毫:幕田魁心
平成26年建立
インド産 黒御影石
「道の駅木更津うまくたの里」です。10基目の歌碑はここの駐車場にあります。
■万葉歌碑⑩
序:初春令月 氣淑風和 梅披鏡前之粉 蘭薫珮後之香
(初春の令月にして 気淑く風和む 梅は鏡前の粉をひらき 蘭ははいごの香を薫らす)
原文:
「我が園に 梅の花散る ひさかたの 天より雪の 流れ来るかも」
読み:
「わがそのに うめのはなちる ひさかたの あめよりゆきの ながれくるかも」
解説:
「初春のよい月、空気は美しく、風は和やかで、梅は鏡の前の美人が白粉(おしろい)で装うように花咲き、蘭は身を飾る衣にまとう香のように薫らせる。
我が家の庭に梅の花が散る。天から雪が流れるように降ってくるのだろうか。」
作者:大伴旅人
建立:令和2年5月1日 令和改元1周年を記念して
揮毫:竹内 幸
碑石:福島県田村郡黒石山産 黒御影石
令和の元号の基になった歌です。
万葉歌碑①、②、③、④、⑨は上総出身の防人の歌のようですね。千年以上前の別れに対する人の心が切なく伝わってきます。
自転車:35km位
電車の待ち時間があったので、結構、走った。